10Jul

英語に stay positive という表現があります。
常に前向きでいよう!というような意味ですが、何か苦しいことや困難なことが起こった時に、Stay positive! といって乗り切ろうとするのです。
私は何年も前からこのことの弊害を訴え続けてきています(笑)。
もちろん前向きでいることはとても大切で、それ自体に問題はないのです。
弊害が出てくるのは、問題の根本をしっかりととらえようとせず、表面的に前向きを取り繕って前へ進もうとするときです。
相変わらず例えが悪くてスミマセンが、何か悪いものを食べて食あたりを起こして下痢が止まらないのに、薬を飲んで下痢を止めて無理やり前へ進もうとすることと同じです。
身体の中から悪いものが完全に排出されつくすまで、下痢を無理やり止めてはいけません。
例えばここに、ある日突然仕事をクビになった人がいるとしましょう。
表面的に見たら気の毒なことで、思わず Stay positive と言って励ましたくなるかもしれません。
新しい仕事を見つけられるようなアドバイスをしたり、世話をしたくなるかもしれません。
ですが、それは表面的なことに対する反応にすぎず、この出来事の根底にあるエネルギー的な要因についてはまったく何も見えていない、見ようともしていない対処方法です。
「仕事をクビになった」という出来事をきっかけとして、揺さぶられている感情があるはずなのです。
ここでそのすべてに素直に正直になれれば、感情の解放が一気に進みます。
これが「仕事をクビになる」という出来事が起こった真の理由と目的の部分であって、もしも自分の感情や気持ちや思いに素直になれずに、見て見ぬフリを続けようとすれば、宇宙はもっと強烈な何かを持ってきて抑圧されている感情を刺激せざるを得なくなるでしょう。
考えてもみてください。
日常の小さな出来事で感情が解放されれば、それに越したことはないんです。
ですが、往々にして私たちは感情を抑圧し続けます。
そしてついには大きな何かが起こって感情の大爆発が起こるまで、抑圧されていた感情があることにすら気づかずに生きているのです。
ですから、表面的な出来事が比較的軽いうちに、感情と向き合って解放できた方がいいのです。
「仕事をクビになる」という出来事をきっかけに揺さぶられる感情や思いは人によって違います。
もしも私だったら、I am not worthy (私には価値がない) 等、自己価値に関する思い込みが刺激されて、惨めで悲しい気持ちや感情が沸き上がるかもしれません。
仕事をクビになったからそう感じるのではなくて、もともとそういう感情や固定観念をもっていたので、「仕事をクビになる」という出来事が起こったのです。
順序が逆なんです。
そして、その出来事をトリガー(媒体)として、感情の解放を行おうと促されているのです。
その一連の流れをストップして押し戻してしまう一言が stay positive (前向きでいよう) なのです。
言い方は妙かもしれませんが、人間惨めな思いをするときにはとことんまで惨めさを味わい尽くした方がいいんです。
この惨めさを感じることが、当時(幼少期)には辛すぎたために、エゴが介入して抑圧したのです。
それが今、表面的な出来事(仕事をクビになる)をきっかけとして解放されようとしています。
ただそれが起こるのを許すだけでいいんです。
Let go, and let it happen.
手放して、物事は起こるがままに。
シンプルではあるけれど、一番簡単な解放の方法です。
Stay positive よりも効果があると思っています。
ちなみに、私は感情が揺さぶられたときは、できるだけ自力で解放することを試みます。
が、それでも無理でパニックになったときには、泣きながらセッションを予約しています(笑)。
感情の解放は本当になかなかうまくできません。