11Mar

投影の仕組み
私たち人間は、無意識で生きている間は必ず自分の潜在意識を外側の世界へ投影します。
これは人間の性(さが)とも言うもので、投影をやめることは基本的にはできないのです。
唯一できることは、自分の投影に気づき(意識的になり)、それを自分のものとしてしっかりと認めて所有することだけです。
例えば、Aさんを見て「Aさんはなんてケチな人なんだろう、嫌だなぁ」と思っているとしたら、自分の中のケチな要素を切り離して(分離させて)強く抑圧しています。
抑圧された要素は潜在意識へ入り無意識となります。
しかし抑圧したからと言ってその要素がなくなるわけではありません。
ただ自分の中で自覚がなくなるだけです。
相変わらずケチな要素はあるのですが、自分がケチであるという自覚はもうないのです。
そして、外の世界の中にその要素を投影し、ケチな人を見つけては憤慨します。
実際には、自分の中のケチな要素を許せないと感じているので、外の世界にいるケチな人(と思っている)のことも許せないのです。
これがざっくりとした投影の仕組みです。
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自分をちゃんと受け入れる
ですからまずは自分の中のケチな部分を認め、「ケチでもいいんだよ」と無条件に受け入れてあげることが必要になってきます。
そもそもなぜその要素を切り離して抑圧したのかと言えば、親や周りの大人に認めてもらえず、拒絶されたり、ダメだしされたりしたからなのです。
そんなことでは生きていけない、と脅されたかもしれません。
ありのままの自分を否定されることの惨めさや悲しさはとても大きいのです。
その痛みを感じることを避けるために、エゴが介入して分離と抑圧を始めました。
エゴはもともと痛みから自分を守るための自己防衛機能です。
抑圧された要素が求めているのは、無条件にありのままの自分を認めれもらえる愛とコンパッション(共感)です。
しっかりと認められた、受け入れてもらえたと感じた自分の一部(インナーチャイルド)はようやく安心し、主張の力を緩め、意識の中へ統合されていきます。
人生はトリガーを送り続ける
私たちが統合を完了し、完全なもともとの姿 (whole self 完全形) に戻るまで、人生は絶え間なくトリガー(刺激)を送り続けます。
苛立つこと、腹の立つこと、フラストレーションを感じること、怒りが沸き上がること、そのすべてが浄化、癒し、統合の機会なのです。
外の世界に見える分裂が、自分の内面世界の分裂です。
癒す必要のある傷と痛みが残っているということです。
相手からの投影を見抜く
さて、自分が潜在意識を投影するということは、相手や他の人も当然同じことをしています。
ここから少し、相手からの投影を見抜くことの大切さについて書いてみようと思います。
私が今回インドへ行くというプランを決行するにあたり、身の回りの様々な人たちから恐れを投影されています。
- 危険じゃないのか
- お金はどれくらいかかるのか、もったいない
- 好き勝手ばかりして生きてはいられないだろう
- ビザが取れなかったらどうするつもりだったの?
- お金は使えば無くなるよね
これ全部、他人の恐れです。私の恐れではないんですね。
つまり、こうしたことを恐れているのは私ではなくて、それを心配している本人だということです。
私たちが自分の中の恐れを乗り越えて進化・拡大しようとするとき、必須で発生する事態は、周囲から恐れを投影されることです。
自由に生きている人を見ると、なんとなくイラっとするという人はとても多いんです。
多くの人は、本当は自分も自由に生きてみたいけれどできないと思い込んでいます。
ですが実際には、自分の中に乗り越えられない恐れや不安があるために、自由に生きることを選んでいないだけなんです。
無意識のうちに我慢することを選択している。
それで、自由にしている人を見ると抑圧している要素が刺激され、その不快感を感じた時に、自分の恐れを相手に押し付ける(投影する)という形で発散してくるんです。
ですから、相手からの投影を見抜いてそれに乗らないようにする技術が必要です。
相手の恐れに惑わされないようにするためにも、しっかりとした自分軸を確立させて、自分は本当はどうしたいのか?
そしてそれに付随して発生するリスクを負う覚悟があるのかないのか、としっかりと自問する必要があります。
それが自分軸で生きるということであり、自分の投影に対しても、他者からの投影に対しても意識的に対処できるということです。
まとめ
- 投影は自分の中で受け入れられていない自分の要素を外の世界に見ること
- 感情が刺激される出来事や人は自分の潜在意識に抑圧されている要素の投影
- 相手も同様に投影をしてくる、それを見極める技能が必要
- 人は誰でも自分の恐れを外の世界に投影する
- 唯一の解決策は、それを自覚して所有すること
ソウル・ヒーリングを進めて自己実現を果たしていくプロセスでは必ず向き合う壁でもありますので、理解を深めていただけたら幸いです。