7Dec

Enmeshment とは、「もつれ」「絡まり」などを意味する英単語です。
Entanglement (絡まり)とよく似たニュアンスですが、スピリチュアリティや心理学の分野で使われるときは、自分と相手、または自分と他者との癒着状態を指すときに使われます。
癒着とは、相手と自分の間にしっかりとした境界線が無く、相手=自分というような、きわめて近親的な関係が出来上がっていることを意味します。
一番原始的なパターンは母子関係ですが、それ以外にも恋人・夫婦・兄弟・姉妹間でも起こりますし、もっと広く言えば個人と学校、会社、サークル、団体などとの間、それから社会や世間一般や国との間にも起こります。
日本は特に癒着体質の強い文化的素地を持った国で、企業と個人の境界線がなくベッタリと癒着することを求められますし、全体として機能するために、会社(企業)全体が「家族化」していることが少なくありません。
そうした中に安らぎや安心感を感じるのが、日本人の国民性とも言えると思います。
自分以外の何かに寄りかかって守ってもらっている安心感です。
なので、それが無くなることに不安を感じます。
個人対雇い主という対等な関係ではなく、近親的な癒着が発生していて、それが普通のこととして黙認されています。
本来であれば母子関係・親子関係を抜け出し自立した人間は、その過程で個人の「自由と責任」を獲得していくはずなのですが、社会全体が癒着体質な場合は、そのプロセスがしっかりと行われないままに人が大人になっていきます。
自由はない代わりに責任は相手に負ってもらうとか、自由ではありたいけれど責任は負わないとか、相手や他者の責任を自分が負って苦しんだりなど、社会全体が未成熟ということができますし、いずれにしてもいつかこのステージを抜け出して成熟の過程へと向かう事が必要です。
そのためには、まず一人一人が意識的に自立を目指し、自分と相手、自分と他者との境界線を見極め、相手と自分を混同しないだけの意識の強さを持つことが必要です。
社会の変化とは、上から起こるものではありません。
個人個人の変化がやがて集合の変化となって発現し、それが社会を根底から変えていくのです。
日本は長らく同じ位置に停滞していますが、前進するには遅すぎるほどのタイミングだと思います。
話は変わりますが、米国のトランプ氏は本当に見事なまでのカタリストだと思います。
アメリカは今までずっと、表向きは自由・博愛・平等を標榜してきましたが、その実態は人種差別、性差別、貧富の差、傲慢さ、独善性、etc がまかり通る社会構造になっていました。
私はアメリカはミズーリ州に4年、ワシントン州に半年暮らしましたので、その実情はそこそこ知っているつもりです。
アジア人が米国に暮らすことの悲哀はわかる人にはわかるでしょう。
けれどそうしたことが表沙汰にされることは極めて少なく、臭い物には蓋をする方式で世界からは隠し通されてきたのです。
トランプ氏は、アメリカという国が表に出したくなかった実に都合の悪い負の部分を見事に体現している人だと思うのです。
つまり、今まではアメリカという国がコッソリと行ってきたことを、トランプ氏は堂々とやり始めた。
まさしく「米国の大統領」だと思います。
トランプ氏のハイヤーパーパス(高次の目的)は、自分を通して米国の病理を炙り出し、外科手術的なカタリシスを通した国と社会の浄化を行うことだと思います。
彼が現れなければ、いつまでたってもアメリカ社会の膿だしは行われなかったことでしょう。
クリントン女史では力不足です。
それと同じ意味で、日本のトップを見ると面白いですね。
たとえどんな人物であろうと、集合を体現する人物はカタリストの要素があるように思えます。
集合に現れるどんな要素も、個人の内面の現れです。
向き合うべきは、常に自分の内面といういつもと同じオチですね。